おまえなんか、訳してやる!

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比較してみる単語

よく辞書を選ぶ時に「愛」という言葉を引くと、その辞書の特徴がわかって良いと言われます。

私がカタカナ語辞典で最初に引くのはインターネットです。これは「愛」ほどではないでしょうが、説明が難しいからです。

インターネットは元々パソコン通信の規格のひとつであり、もっといろいろ「ナントカネット」がある中での"インターネット"という名前のネットであります。つまり「ファミコン」という言葉のように、元々はゲーム機のひとつを指す固有名詞だけれど、あまりにも普及したので広く「家庭用ビデオゲーム機」の意味で普通名詞としても使われたというような、ふたつの意味を持つ言葉なのです。

元々の意味のインターネット(区別のためthe Internetとも言います)は、それまでの通信技術とどう違うのかという技術的視点の説明にならざるを得ず、インターネット以前のコンピューター通信を知らない初心者ががんばっても理解できるような話ではありません。後から生まれたインターネットの意味は世界規模の、すべてつながった、パソコンでも携帯でも見れる、つまり世界規模のコンピューター通信網ですが、漠然としたいろいろなイメージが加えられています。

これがインターネットの説明の難しさで、だからこそ辞典の特徴が出るのです。

(1)「ARPAnet」や「TCP/IP」といった言葉が出てくるパターン
先ほどの「あるものを説明する文章の中で、そのものより難易度が高い言葉を使ってしまう」パターンの典型ですが、元々の意味のインターネットを説明しようとするとこうなります。「インターネット・プロトコル(IP)による通信網がインターネット」という技術的な定義。古い辞典には、こうした解説しか載っていないものが多いです。
(2)「世界的なコンピューターのネットワーク」といった説明
現状の意味のインターネットの説明からはじまる辞典も増えているようです。ただ子供向けの辞書ならともかく、これだけで終わってしまうのはちょっと正確さを欠くように思えます。
(3)「ネットワークをつなぐネットワーク」といった説明
複数のコンピューターネットワークをつなぐ上位のネットが「インターネット」だ、としている辞典もあります。「internet」の語源を探るとそういう意味なのかもしれませんが、そういう定義であるかのような説明には疑問が残ります。説明のニュアンスによっては「それってインターネットっていうよりWAN(広域通信網)の説明じゃない?」と思えることもあり、この説明だけで終わっている辞書はあんまり信用しません。

私は(1)と(2)の説明文が両方ある辞書が好きです。この他にも、「ファイル」「ソフトウェア」「ISDN」や「ADSL」といった単語もよく知られているわりに説明が難しく、参考になります。自分にあっているな、と感じられる辞典を見つけられるのではないでしょうか。