素粒子を名づけ直す試み
前回の続きです。訳のために粒子の名前の英語・中国語を書き出してみました。
■ 粒子の名前 日本語・英語・中国語(簡体)リスト
- 日本語(その他の呼び方)[english]……中国語(繁体含むその他の呼び方)
という並びになっています。
- フェルミオン(フェルミ粒子)[fermion]……費米子
- ボソン(ボース粒子、ボーズ粒子、ボゾン)[boson]……玻色子
- ハドロン(強粒子)[hadron]……强子
(※科学的な分類にはなってません。中国語できませんし物理学素人なので間違ってたらすみません。)
まとめてみて分かったのは、日本語は元の用語をけっこう直訳してるということ、そして元の用語はあんまり整合性がないということでした。
例えばレプトン(lept軽い+on粒子)の中で後から発見された第三世代の粒子「タウ粒子」は、バリオン(barys重い+on粒子)である陽子よりも質量が大きいのです。
またバリオンは後から素粒子ではないことが分かったので、素粒子物理学では「軽い粒子と重い粒子」というよりは、「素粒子の1グループと素粒子の複合体の1グループ」であるというような名前が適していると思います。
他に、新発見されたときや話題性のあるときに学者さんが名付けたお茶目な名前がそのまま残っているのも、体系的な理解を妨げると思います。加えて、日本語話者には丸暗記するしかないようなカタカナ語も多いので、素人にはなかなかとっつきにくい状態です。
■ 力と素粒子名を対応させた新命名の試み
そこでまず、フェルミオン(物質粒子)を自然界の基本的な4つの力(参考:基本相互作用 - Wikipedia)と結びつけて単純に命名してみます。
強い力を媒介するのが強力子、重力と弱い力に影響されるのが感弱子という具合です。
力の名前 | 重力 | 弱い力 | 電磁力 | 強い力 |
---|---|---|---|---|
力を媒介するボソン | グラビトン(重力子) | ウィークボソン | 光子 | グルーオン |
↑その新しい命名 | 重力子 | 弱力子 | 電力子 | 強力子 |
力に影響されるフェルミオン | (シャドーマター) | ニュートリノ | ?(電子・ミュー粒子・タウ粒子) | クォーク |
↑その新しい命名 | 感重子 | 感弱子 | 感電子 | 感強子 |
すっきりー。しかし電子・ミュー粒子・タウ粒子の一族はなんて呼ぶものなんでしょう。ご存知でしたら教えてください。
この調子で前回訳したものも訂正して、どんどん名付けなおしていきます。
■ 力と素粒子名を対応させた新命名の試み
すっきりー。
問題点としては似たような響きの名前が多くてパッと見で紛らわしいとか、図などで記号で表す時の不便があるでしょうか。
また未発見だったり、まだ性質や位置づけがよく分かってないものはやはり難しいです。ヒッグス粒子はここでは「抵抗子」にしてみましたけど、ヒッグス粒子以外にも「抵抗子」の名にふさわしい粒子が後からたくさん見つかってしまうと区別に困ります。
あと中間子のように種類が多すぎて、結局πとかKとかの記号でしょうがないものもあると思います。
でもですね、専門の方は困るでしょうけども、子供が新しく覚えるなら絶対このほうが分かりやすいですよ。性質が名前になってて、体系的で。
「ハドロンとメソンとバリオン*31」より「感強体と二強体と三強体*32」のほうが、一度覚えた意味を忘れにくいでしょう。「ハイペロンはストレンジクォークを含む核子」より「二陽核子は第二陽感強子を含む核子」のほうが、関係性を覚えるのが楽なはずです。
私はもう量子力学の読み物を読むときに、この記事が覚え書きとして欠かせなくなるかもしれません。今のうちに文部科学省に検討してほしいくらいです。