おまえなんか、訳してやる!

どんどん一言で 訳していくサイトです。 今567語くらい。

永井豪で育った世代

前回の言い換え語提案を見ていて考えた「どうしてカタカナ語を使うのか考察・番外編」。結論から言うと、今のおじさんがカタカナ語が好きな原因は永井豪だと思います。

鉄腕アトム7つの威力
■電子頭脳 ■(60ヶ国語)人工声帯 ■(千倍聞こえる)耳 ■(鼻が)アンテナ ■(足が)ジェットエンジン ■(目が)サーチライト ■(尻から)マシンガン他、時代により変化 - 参考サイト:ロボット作品を追え!

鉄腕アトムには「必殺技」というものがないようです。黄金バットのシルバーバトン同様「武器」ですね。まだ「必殺技」は力道山の「空手チョップ」のようにスポーツ界のものだったのでしょうか。

石森章太郎石ノ森章太郎)作品の技
■ライダーキック ■ゴレンジャーストーム ■六段蹴り(アオンジャー)■阿蘇山落とし(キレンジャー)■デンジエンド(キカイダー) ■イナズマンフラッシュ

マンガの世界で「必殺技」をブレークさせたのはオ−ルジャンルの仕掛人石森章太郎じゃないかと思います。相撲の“決まり手”みたいなもので、活劇の構造がわかりやすくなる道具立てなんでしょう。お約束だけど“決まり手”で“決まる”と子供も溜飲が下がるわけですね。よりカタストロフィックであるかわりに、戦闘シーンに人間ドラマを盛り込もうとすると「必殺技」は型にはめこむ力が強いためにチャンバラシーンを独立させすぎて…話がそれそう。

そして石森作品のテレビ化の際、ヒーローが必殺技や武器の名前を呼ぶ(自己実況する)ことで「必殺技」と「武器」は境目がごっちゃになりました。だからあんまり区別されないけど本来は「武器<必殺技」で効き目があったと思うのです。ここが重要なターニングポイント。「武器」がストーリー展開を決定する威力をもったわけですが、永井豪はこれをフル活用しています。

永井豪作品の技
■ゲッタービーム ■ゲッタートマホーク ■ロケットパンチ ■ブレストファイヤー ■ブレストバーン ■アフロダイミサイル(おっぱいミサイルの正式名称) ■デビルカッター ■デビルアロー ■ハニーフラッシュ

よく「必殺技」っていうけど本当はだいたい武器なんです。「自己実況」をからめた武器が活劇の展開を支配していて、全編に漂う独特の即物性が大人ウケしない理由だったと思います。

そしてこれが徹底的にカタカナなのです(本当はドロロンえん魔くんの技はカタカナじゃなかったりするけど割愛)。

  • カタカナ絶叫→物事が解決

という刷り込みがこの世代の子供になされた時代です。今の30代です。

  • 初代仮面ライダー放送が昭和46〜48年(今の30代後半〜40代前半)
  • アトムの白黒放送が昭和38〜41年(今の40代〜50代前半)

ですので、そのおじさんの世代がどのくらいカタカナ語にヤラれやすいか、カタカナ語に威力を期待するかを参考にしてください。今と違って子供がみんな同じアニメを見ていた時代です。SEの人とかは、よくわからないけどシステムの稼動時に「ITソリューショーーン!!」とか絶叫すると発注元の人がビビると思います。どこで何を叫べばいいのか考えてみてください。

携帯の商品名などで感じますけど、20代以降の人は「英数字」に弱い、ヤラレやすい、即物的効果を期待しやすい世代だと思います。あやしい競馬の必勝法とか、変な健康法で商売している人は、英数字の商品開発をすると効き目があるかもしれません。