おまえなんか、訳してやる!

どんどん一言で 訳していくサイトです。 今567語くらい。

言わせてはいけない

たいした記事ではないのですが前から思っていたことで、プログラミングをされる方の書く文章は「コンピュータ(コンピューター)」という単語が一般人よりずっと少ない気がします。たぶん…あまり使ってはいけないのでしょう。知らない業界なので想像するしかありませんが。

初心者にわりとやさしいIT用語辞典 e-Wordsにはコンピュータの項がありますが、老舗のアスキー デジタル用語辞典には載ってません。おそらくメーカー側で用語集を作ったとき、当時の技術者たちに執筆を断られたのでしょう。そんなものを書かせる気か、と。

本当にプログラマー(ソフトウェアエンジニア)は「コンピュータ」と言わないのか。毎度ネタにして申し訳ないですが、はてなスタッフの日記で使用頻度を検証してみましょう。本人の言葉の中に普通名詞「コンピュータ」が現れる日付の割合を見てみます(※引用文・翻訳的内容・固有名詞の中にあらわれる「コンピュータ」は除く)。

はてなスタッフの日記(100日以上記事のあるブログ)のコンピュータ発言

ユーザー名 (私が知る限りでの)仕事内容 コンピュータ発言日/全日数 登場率 備考
id:umedamochioさん 取締役、経営参画 8日/225日 3.6% コンピュータ将棋の話が多い
id:kawasakiさん 副社長、広告事業戦略担当 3日/106日 2.8% 情報技術に関する記事が多い
id:reikonさん 広報担当 6日/378日 1.5% コンピューターの話が少ない
id:naoyaさん 最高技術責任者、技術者 2日/151日 1.3% 最近2回使った
id:jkondoさん 社長 3日/268日 1.1% プログラミングもする社長
id:kiyoheroさん 質問箱・アイデア担当 6日/607日 0.98% 元々プログラミングされる方
id:hiraxさん キヤノンの技術者、はてなにも入社発表後よくわからないんですけど 12日/2533日 0.47% 記事の多い「inside out」で検証
id:higeponさん 技術者 1日/352日 0.28% MonaOSの開発者。日記はコンピューター話一色。
id:onishiさん 技術者 0日/107日 0% 技術者だけどコンピューター話少ない。

まあサンプル少ないですがこうして見ますとやはり、技術者意識が高いであろうスタッフの日記のほうが「コンピュータ」発言が少ない傾向が確認できると思います。内容はコンピューター関連の記事が多いのにも関わらず、です。

inside outは平易な記事で平林さんはよく「コンピュータ」を使われている印象でしたが、数えるとほとんどが引用や翻訳でした。日記の全文検索より2000/10/172003/10/252004/03/302004/03/252004/04/112004/04/272004/05/232004/05/272004/06/222004/10/222004/11/232004/12/14で確認されまして、12/2,533日(0.47%)。なぜか「コンピュータ」発言は2004年に大集中しています。この頃エンジニア度が下がっていたのかもしれません。それでやぶれかぶれで「コンピュータ、コンピュータ」と言っていたところをはてなが目をつけて誘いを……

やはり技術者の「コンピュータ」発言は気をつけないと、重大な事態を招きかねないようです。higeponさんは罰ゲームで書かされたのかもしれませんね。本の紹介の中なのでうまく処理できていますよ。onishiさんに至っては、発言を避けるためにコンピューター話を避けているのかもしれませんね。

その理由は

とにかく技術者は滅多に「コンピュータ」発言をしないことがわかりました。そろそろ真面目に考察します。

その世界の人なので改まって言う機会がない
これは多分にあると思います。
ソフトのエンジニアなのでコンピューター自体のことは話さない
インテリアデザイナーは「建築」のことはあまり口にしなさそうな関係。これもあると思います。それにしても言わないなと感じますけどね。
「電子計算機」と言うなど、言葉使いのポリシー
ごくまれにいらっしゃると思います。
コンピューターはその人の世界そのものなので客観視できない。コンピューターをコンピューターと呼ぶと世界観が揺らいじゃう
あったりして。
なんだか言うと恥ずかしい。特に「ピュー」のあたり
出てしまいました。

なんだか言うと恥ずかしい。特に「ピュー」のあたり。

最大の理由はやはりこれではないでしょうか。ソフトウェア・エンジニアの方が一般人に「コンピューター関係の仕事です」と自己紹介するとき、卑下する感が漂うことがあります。(コン・ピュー・タ、か……)と思っているのでしょう。

いや、語感が恥ずかしいというのは大きいです。例えばもし「デザイン」というものが「デザイン」じゃなくて、実は「デザピョン」だったら、「デザピョナー」の人はきっとデザピョンという単語をちょっと避けて話をすると思うのです。自分は「デザピョナー」のはずなのに、グラフィック・クリエイティブ・エディターとか仕事を詳しく言ってみたり、急に「意匠家」とか言い出しちゃったりして。

「自分が毎日携わっているものがコン・ピュー・タだなんて恥ずかしい!」「例えば“コンザクター”とかだったら、もっと平気で口に出せるのに…」だんだん分かってきましたので、これからはみなさんも技術者のそういう気持ちを汲み取ってあげてください。慣れれば放送コードみたいなものだと思います。

逆に嫌な人に会ったら、「コンピュータ博士」というあだなをつけて落ち込ませるのがよいと思います。ではまた。