おまえなんか、訳してやる!

どんどん一言で 訳していくサイトです。 今567語くらい。

博多人形は「フィギュア」か

ちょっと前のニュースから適当クイズです。次の文章のツッコミどころは?

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <オタク狩り>少年ら8人を恐喝容疑などで逮捕 警視庁
東京・秋葉原の電気街で、「オタク狩り」と称して、中学生から現金を脅し取ったとして警視庁少年事件課は28日、東京や埼玉の3つの少年グループ計8人を恐喝などの容疑で逮捕したと発表した。秋葉原では、アニメ人形などの買い物に来た「アキバ系」と呼ばれる中高生らが被害に遭う恐喝事件が今年に入って計25件(被害総額約35万円)発生しており、同課で関連を調べる。

正解↓

たぶん「フィギュア」が「人形」と言い換えられているんですけども、その筋の方には違和感ありありでしょう。私はフィギュアといえばミギーを買いにワンフェスにいった*程度の接点ですが、ツッコミたくなる気持ちは分かります。

でも、なぜ変に感じるの? フィギュアって、なに? 博多人形フィギュアなの? という疑問がふつふつとわいてきてしまったので調べてみました。だらだら長いです。

フィギュアは「フィギュア(モデル)キット」か「ミニチュア・フィギュア」のようだ

フィギュアの語源を見ますと印欧祖語の(形成する、こねる)*から英語「feign(〜を装う、〜のフリをする)」、そして「figure(図形、形状、象徴、表象、姿、人物、人物像、肖像、彫像)」となりまして、このうち「人物像」の意味が今回のフィギュアの語源でしょう。

フィギュア - Wikipediaには、もともとは英語圏で人の形を模したものを指す一般的な言葉であり、必ずしも立体をさす言葉でも無かった。また人の形を模したものをすべてフィギュアと呼ぶかと言えばそうではなく、(〜中略〜)彫刻・彫塑・立像などの分類から外れたものを指すことが多いとあります。

さて、例のフィギュアはなにか「フィギュア○○」の省略ではないかと調べると、「figure (model) kit」(Googleイメージ検索)・「 (model) kit figure」(Googleイメージ検索)、または「miniature figure(Google イメージ検索)」などがありました。

「figure kit」や「kit figure」は「人物の模型のキット」ということで、だいたい人物などのキャラクターの像だけですね。ちなみに「キット(kit)」は一般的に「部品一式」「用具一式」の意味ですが、模型ではパーツの状態だけでなく組み上がった品を指しても言うので、平たく言えば「物(ブツ、又はモノ)」でしょう。

「miniature figure」のほうは小さい模型で動物なども含むことが多い感じ。日本語では両方「フィギュア」と略すので二種類の意味が混在しているような。

意味のあいまいさ

日本語の「フィギュア」を検索すると、特にキャラクターではない動物・建物・料理などまでが「フィギュア」として登場します。

いつからそうなったのか私には分からないのですが、チョコエッグなどの食玩が大ヒットした頃、本来「ミニチュア(モデルキット)」と呼ぶべきオマケが「フィギュア」と称されていたことが大きいのではないでしょうか(憶測なので情報募集中)。フルタや海洋堂が違和感を持ちつつも、新語商法的に動物の模型も「フィギュア」で統一したのかもしれませんね。

「ドール」との違いは単一素材? 固定ポーズ?

フィギュアの定義に関して現在フィギュア - Wikipediaでは「固定ポーズ」、フィギュア - はてなダイアリーキーワードでは「単一成素材」について言及があるんですが、今までの事をふまえますと、どちらも決定打にはなりえないでしょう。

「模型であること」がフィギュアの条件で、ここが「人形(ドール)」と違うところだと思います。人形も「人間の模型」と言えますが、わざわざ模型であると言うときにはもっと限定的に

1.観賞用である(持って遊ぶのは主目的でない・正確に模すほど模型志向と言える)

という意味合いがあって、さらに狭義に

2.模型業界の商品・作品である(流通や制作行程などの問題)

という意味合いがあるはずです。

したがって「博多人形」は1の点ではフィギュアと言えなくもないけれど、何かを正確に模す・再現するという目的性は低いのが普通ですし、2の点ではフィギュアとは呼べないでしょう。

じゃあ「アニメ人形」は

例の記事、アニメフィギュアのことならば、「アニメのキャラクター模型」ぐらいが良かったのかもしれません。
それじゃ長すぎるなら中国語から取って「動漫人物模型」とかですね、いやダメでしょうけども、「模型と言って頂きたかった」という結論であります。あと博多人形はあんまりフィギュアじゃない。