おまえなんか、訳してやる!

どんどん一言で 訳していくサイトです。 今567語くらい。

師匠W光臨

サトウサンペイの「ジーの思い出し笑い」

パソコンのパの字からネット遊び (アサヒオリジナル)

私の更新が滞っていたので今更ですが、id:panojikaraさんこと漫画家サトウサンペイ先生がはてなダイアリーですばらしいブログを書かれてます。

先生はうちでも「OS」→「お母さんソフト」「Wizard」→「次々カード」等の訳語をご紹介した「パソコンのパの字から」シリーズの作者。そのざっくばらんで鋭い名訳ぶりを勝手に師匠と仰いでおりますが、見習おうと思ってもなかなかどうして、同じようにはいかないのであります。

そしてこれも今更で恐縮ですが、なんと「おま訳」がリスペクトする笑福亭鶴光師匠もはてなダイアリー笑福亭鶴光のブログ:つるこうでおま!を開設。師匠W光臨とあいなっております。ウソみたい。


(誤った意味での)<アダルトチルドレン>………“未熟成人”“無分別者”おま訳“コドナ”“子供大人”“大供”引用訳

上記の通り、誤った意味での<アダルトチルドレン>です。正しい意味のほうも、もっと誤解されにくい専門用語っぽい呼び名にしてほしい気がしますけども、まあそれは置いておきまして。

“子供っぽい大人”をそのまま言えば“子供大人”だと思うのですが、これもなんだか「正しい意味でのアダルトチルドレンの和訳」みたいで紛らわしい気がしまして、別の案を考えました。

「未熟者」で言い換えがきく場面が多いと思いますが、「今の30代はキレやすく“未熟者”傾向が強い……」といった文脈ではどうもしっくりきません。

なんか、昔ながらの言葉でもありそうな気がするんですけどねえ。既存の言葉でズバリ「大供子供っぽいおとなを茶化していう語。 )」というのがあったのですが、語感が地味でピンとこないような。「大わらわ」だとぜんぜん違う意味になっちゃうし、トッチャンボウヤも違うなあ。

造語するなら“老けたピーターパン”いやいや……。あと「幼稚」まで言っちゃうとちょっと違うんですよね。やっぱり平凡だけど“未熟成人”ぐらいかなあ。未熟成な人なのか未熟な成人なのか。迷い言が大半の記事ですみません。


(追記)頂いたコメントから“コドナ”を追加しました。子供の心を持った大人、という良いニュアンスもあるようです。「大人っぽい子供」は“オドモ”だとか。

間違った意味での「アダルトチルドレン」の代わりになる言葉を考える

 14日放送のテレビ朝日系「報道ステーション」で、キャスター古舘伊知郎氏が、前日に「アダルトチルドレン」という言葉を誤って使ったことを謝罪した。

 同局によると13日の放送で、「成人」を18歳に引き下げる論議にふれた際、古舘氏は大人になりきれない子どもの意味でアダルトチルドレンという言葉を使った。一般にこの言葉は、アルコール依存症の親を持つなど、子どもの時の家庭環境に傷ついたまま成人した人を指す。

http://www.asahi.com/national/update/0215/TKY200802140342.html

げえっ。私も誤って使っていました。

アダルトチルドレンとは、機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持っている人のことを指す。Adult Childrenの頭文字を取り、単にACともいう。学術的な言葉ではないため、論者により定義が異なる場合がある。(中略)

一般的には虐待やアルコール依存症のある機能不全家庭で育ち、その体験が成人になっても心理的外傷として残っている人をいう。(中略)

もともとの定義は「Adult Children of Alcoholics(アルコール依存症の親のもとで育ち、成人した人々)」という意味であった。(中略)
アダルトチルドレン」を「子供っぽい行動をする大人」という意味で使用するのは誤用である。adult children(adult(大人)とchildren(子供)をしいて日本語に訳せば「大人になった子供」となるが、この場合の「子供」とは年少者の意味ではなく、親に対する子供(息子、娘)の意味である。

アダルトチルドレン - Wikipedia

コミュニケーションが得意でない人を誤って「自閉症」と呼んでしまう問題と似ていますね。アダルトチルドレンは病名ではないし自閉症よりも定義があいまいなちょっと厄介な用語のようですが、誤用のほうが定着すると症状への誤解が広まるなど問題がありそうですから、誤用はあくまで誤用として排斥されていきそうに思います。

さてしかし、子供っぽい行動をする大人をなんと呼んだらいいのでしょうか。


<セレブ>………“上流風”おま訳“名士”“お金持ち”引用訳

語源は英語celebrity(セレブリティ=著名人・名士)ですが、<セレブ>が<セレブリティ>とニュアンスの違う言葉であることはご存知の通り。

セレブリティ - Wikipedia元来の英語ではセレブリティという言葉自体に「金持ち」や「優雅」などの意味合いはない等々、日本語での意味のおかしさに詳しく触れられていますが、言語学的には新しい言葉が生まれたと考えるべきでしょう。特に<セレブ>は“セレブな”という謎の形容もまかりとおっていますし、完全な新語です。またつい“成金趣味の”などと言い換えたくもなりますが、実際にはそこまで嫌みな意味では用いられません。

私が感じるところでは、人を指す場合の<セレブ>はそれでも“名士”からそんなに遠くない意味合いで使われているように思います。Wikipediaの指摘どおり“著名であるかどうか”が問題にならないことも多く、場合によっては中産階級の人たちぐらいまで含んで言っちゃうこともあるかもしれませんが……。

問題は「セレブな」とか「セレブ犬」みたいな形容で使われる場合の<セレブ>で、これはもうほんとにcelebrityとはほとんど関係ない意味に転じています。一昔前の「ハイソ」「ハイソな(高級な)」とほぼ同じ意味ではないでしょうか。ハイソックスじゃないよ。

ハイソはハイソサエティ=上流階級なので、じかに人を指す言葉ではありませんでした。セレブは人なので、「セレブな」は“上流階級の人風”で、やや表面的な意味合いが強いような気がします。