おまえなんか、訳してやる!

どんどん一言で 訳していくサイトです。 今567語くらい。

WEBマンガという名称について

WEBマンガの感想という記事で「WEBマンガ」という表現をしたけれど、これで良いのか、また“モニターで読ませるマンガ”をどう呼べばいいのかというお話。竹熊健太郎さんに読んでもらえるかもしれないので調べてみましょう。非常にまずいものを書いていたら賢明な皆様ツッコミお願いいたします。

(1)“ウェブブラウザで読むマンガ”のことは?

結論から言うと、WEBマンガの感想で紹介されていたような“ウェブブラウザで読める”作品は、「Webマンガ(ウェブ漫画、Webコミック等の異表記ふくむ)」が一番適当なようです。

"Web漫画""Webマンガ""Webコミック"で検索されるもののほとんどは、“ウェブブラウザで読める”作品でした。一方「オンラインコミック(漫画・マンガ)」や「インターネット漫画(マンガ・コミック)」にもウェブブラウザで読めるものがたくさん含まれますが、こちらはオンラインやインターネットで“配信された”意味合いが強いようで、ダウンロード後に専用ブラウザで読むような形式が多くなってきます。

これはインターネットが「ネットワーク」、オンラインが「回線(状態)」のことであるのに対し、Web(World Wide Web = WWW)が「ハイパーテキストを利用・提供するシステム」として狭義で、「Webページ」のようにウェブブラウザ(WWWクライアントが正確かもしれませんが)で利用するものだからでしょう。音楽で「オンラインミュージック」や「インターネット音楽」と言うのに対し、「Webミュージック」という言葉がほとんど使われないことからも、「Web○○」はWebページ上のもの、いわゆるウェブブラウザで接するものという意味合いが強いように感じます。

またウェブとはクモの巣(web)の例えでなにかの略語ではないので、「Web」まではまあわかるけど「WEB」はちょっと変じゃないかという意見があるでしょう。「ウェブ」と表記するのも正しいでしょうが「ウェブマンガ」は「ウェブ・マンガ」であることに気がつくのに一瞬長くかかりそうなので横書き文章なら「Web」がいいかもしれません(いよいよ考えすぎかもしれませんが)。さらに“漫画か、マンガか”という表記の問題は(私は気になりませんが)「マンガ」のほうがより狭義でしょう。というわけで最終的に、ウェブブラウザで読む漫画のことは「Webマンガ」をおすすめします。さあどうだ。

(2)“ディスプレイで読むマンガ”のことは?

「モニター」は監視装置が語源で普通はCRTディスプレイのことを言うのでここでは「ディスプレイ」で通します(いつもはいい加減です)。あとgoo辞書さんでデジタルコミックは電子媒体上に表現した漫画とありますが、新語なので参考程度にとどめます。

また結論から言いますと、文脈次第で「デジタルコミック(漫画・マンガ)」は意味が変わります。また「電子コミック(漫画・マンガ)」と呼べば、誤解されにくくて良いと思います。もっと素晴らしく適した単語を私が知らないだけの可能性もありますが、「電子コミック(漫画・マンガ)」は“ディスプレイで読むマンガ”を意味できていると思います。

もちろん「デジタルコミック(漫画・マンガ)」も間違いではありません。本来、読み手側が“ディスプレイで読むマンガ”を「デジタルコミック」と呼び始めたら、作り手側はもう“デジタル環境で制作したマンガ”を別の言葉で言い表しはじめるべきだと思います。もし「デジタル小説」が、小説家が原稿をパソコンで書いただけの紙の本だったら変です。

"デジタル制作マンガ"とか、それこそ"DTCP(デスクトップ・コミック・プロダクション)"とか……ここで私が欧米でなんていうのか知らないところが言語学系サイトになれないところなんですが……。「digital comic」とか「digital cartoon」の用法もちゃんとわかりませんで……(ここでも教えてくれる方募集)。

音楽ジャンルでは、電子楽器を使って演奏する音楽「電子音楽」という言葉が(『テクノ』ほどじゃなくても)最初に広まったと思いますが、「電子音楽」はその意味で定着して、CD に記録されている音楽などは「デジタル音楽」と呼ぶようになって、それは聴き手にとって当たり前になったのであまり聞かれなくなり、「デジタル音楽」は長い間ずいぶん意味の揺らぎのある言葉だったと思いますが、最近一気に“聴き手がデジタルデータだけを受け取る配信形態の音楽”の意味合いが強まったと思います。

“ディスプレイで読むマンガ”は「デジタル音楽」ほど一般に普及していない形態なので、まだ「デジタルコミック」の座に定着していないのだと思います。そこで現段階では制作側が使わない言葉で、紙媒体のものが電子化した先例である「電子ブック」に習い、「電子コミック」と言っておくと“ディスプレイで読むマンガ”がイメージされやすいと思います。実際その意味が強い言葉のようです。

問題は「電子」というと、紙媒体の白黒のマンガをデジタル画像にしただけみたいなイメージがなんとなくあるところでしょうか……。なので「デジタルコミック」で押し通すというのも一法かと。長いわりに決定打がなくてすみません。


おまけ("インターネット&漫画"などの表現も含むので不正確ですが、目安で)