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女性声優の兄弟姉妹構成とその影響

(登録日:2010/09/17 最終更新日:2023/09/02)
「声優さんは、本人の兄弟姉妹構成によって向いている役柄の傾向がある」といった話です。

私はそれほどアニメを見るわけではないのですが、アイマスきっかけでアニラジを聞き、声優さんを覚えるようになりまして、この持論を思いついてからは「やっぱりそうだよなあ…」などとよく考えてしまいます。最近その時間が無駄な気がしてきましたので、ここでひっそりと披露して、スッキリ気持ちを整理しようと思います。観測範囲が狭いのはすみません。
ちなみにこの記事内の声優名は「はてなキーワード」にリンクしていますので、クリックするとだいたい説明に飛べます。

姉声優 

とある科学の超電磁砲 お守り 御坂美琴
ある女性声優さんに、妹か弟しかいなければ、その人は「姉声優」とします。兄弟姉妹の中で一番年長(長子)ということです。ここでは、役柄がお姉様ということではありませんが、「とある科学の超電磁砲御坂美琴役の佐藤利奈さん(弟1人)は姉声優です。

2000年代前半までの萌えブームを牽引した女性声優さんには姉声優がとても多い印象があります。私が典型的な姉声優と思う人は田村ゆかりさん、釘宮理恵さん、能登麻美子さん、花澤香菜さんです。このあたりの人気者は声優ファンには説明不要でしょう。

姉声優さんは主体性があって、地に足がついた感じの人間的なヒロインに似合います。例えば「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロインの中ではミサトの三石琴乃さん(弟1人)、「アイドルマスター」では天海春香中村繪里子さん(妹1人)ほか、高槻やよい萩原雪歩我那覇響水瀬伊織の声優さんが姉声優です。日常系ブーム(2009年頃)が起こる以前の劇的なアニメのほうが、姉声優の存在が大きかったように思えます。世界観が現実離れしているので、逆に地に足の着いたキャラクターが必須なのかもしれません。

また初期の萌えブームと言えばハーレムラブコメですが、姉声優が演じるヒロインは男性主人公へのアピールが強く、最終的にバッチリ結ばれるようなタイプが多いと思います。

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特に男性主人公をめぐってのギスギス感があるヒット作品には、長子(姉か一人っ子)声優の割合が高い気がします。「とらドラ!」はメイン3人とも、「俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる」は幼なじみの千和を除く4人、「IS 〈インフィニット・ストラトス〉」は幼なじみの箒と鈴音を除く5人、「化物語」は忍野忍を除く5人のヒロインが長子でした。

そして姉声優のキャラは主人公に対する愛が重かったり、情念を強く感じさせたり、包容力があったりして、その点でわずかに及ばない一人っ子声優や妹声優のヒロインを競り落として男性主人公をモノにする……というイメージがあります。具体的に書くと作品のネタバレになってしまうので、よろしければお好きな作品で調べてみてください。この典型を逆手にとったようなどんでん返しの作品もあったりします。

面白い事にこうした特徴は、姉声優でない人が演技の技術でなんとかしようとしても、相当難しいようなのです。姉のしっかり感や、妹の自由奔放さは、少なくとも若いうちは自然と演技に出てしまうものなのでしょう。もちろん例外的な人もいらっしゃいますが。

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また「ゆかりんボイス」「釘宮病」などと騒がれ、男性ファンを虜にした女性声優さんは、弟や妹を溺愛している事が多いです。芸能人の話なので鵜呑みにはできないかもしれませんが、釘宮理恵さんや田村ゆかりさん、花澤香菜さんや仁後真耶子さんが、弟妹を猫かわいがりしているという話をよくされていました。

そういった声優さんは、子供の頃からお姉ちゃんとして弟や妹をあやしたり、なだめすかしたりしているうちに、若くして子供を安心させる母性的な演技や、必殺の猫なで声を身につけたのだと思われます。しかも声が高いですから、「子供みたいな声なのに態度がお母さん」というギャップが男性視聴者を幼児退行させ、虜にするのではないでしょうか(恐ろしいですね)。姉声優さんは妹っぽい役のイメージの強いかたが多いのですが、妹や弟をよく観察していたから演技が上手いのかもしれませんね。


姉声優リスト(ほとんどの方は正式な公表ではないので、間違いがあるかもしれません。また、これ以外の声優さんの情報もコメント欄に多数お寄せいただいています。特定の方をお探しの場合は「もっと読む」をクリックして全コメントを表示し、ブラウザで検索するなどしてみてください。)

妹声優 

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ある女性声優さんに、姉か兄しかいなければ、その人は「妹声優」とします。兄弟姉妹の一番年少(末子)ということです。

妹声優さんは天から降ってきたような、浮世離れしてあまり生々しくないヒロインに似合います。戸松遥さんは初期の声優活動で「かんなぎ」に登場する神様・ナギや、「To LOVEる」のララ、「あの夏で待ってる」のイチカといった宇宙人ヒロインが当たり役でした。「喜久子お姉さん」こと井上喜久子さんはじつは妹声優で、「ああっ女神さまっ」で女神様のベルダンディーを演じています。「アイドルマスター」のあずささん(cv たかはし智秋)のようなふわふわしたお姉さんキャラは、妹声優さんが演じているケースが多いです。

また妹声優さんは「空気を読みつつ奔放にふるまう」という演技で他の追随を許しません。恋愛とは無関係に無邪気に騒いでいるようなかわいい女の子役や、奔放で楽しいヒロインなどに向いています。00年代前半までのアニメのヒロインは姉声優が圧倒的でしたが、2007年の「ひだまりスケッチ」あたりから日常系アニメが増えると、妹声優の活躍が目立ちました。私が典型的な妹声優と思う人は阿澄佳奈さん、日笠陽子さん、井口裕香さん、伊藤かな恵さん。少し上の世代では金田朋子さんや松来未祐さん、広橋涼さんも典型的な例でしょう。

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男性の影が薄く、女の子がきゃっきゃしているような作品のCVは妹声優さんが多いです。「ゆるゆり」の七森中ごらく部は4人とも妹声優ですし、「けいおん!」の放課後ティータイムのメンバーは5人中4人が妹声優。(ちなみに澪に対してやや重たい独占欲を持つ律ちゃんだけは姉声優の佐藤聡美さん。姉を溺愛する平沢憂役の米澤円さんも3姉妹の長女。姉声優の愛は重いのです。)

恋愛対象にもあまり依存せず奔放にふるまうヒロインが得意ないっぽう、妹声優さんは劇的なラブストーリーやガッツリしたラブシーンが得意でない傾向があるようです。空気を読めてしまうためか、上の兄弟にからかわれることに対する防衛本能が働いてしまうのか、アフレコ現場で恋愛の演技にどんどん自己陶酔して乗っていくというタイプではないのでしょう。

アマガミSS +plus (6) 森島はるか (Blu-ray)例えば、伊藤静さんはアニメ「アマガミSS」で主人公と甘くいちゃつくシーンの収録が「めちゃくちゃ恥ずかしかった」と語っていました。ゲーム「アマガミ」ではひとりひとり別録だったので問題なかったのでしょう。別撮りの美少女ゲームでは萌え演技を発揮しやすいという妹声優さんもいるかもしれません。

妹声優さんの演じるアニメヒロインは“最後に男性主人公とくっつかない”または“くっつくけれどそこで話が終わってラブシーンはあまりない”というパターンが多いように思えます。

もちろん例外の方もいまして、名塚佳織さんは「エウレカセブン」のエウレカや、「アマガミ」のメインヒロイン絢辻詞さんなどを演じ、男性主人公の運命をわしづかみするようなヒロインを演じています。フリーであり劇団活動など多方面で活躍するような自主性が高い方なので、元から性格がそうしたヒロインに合っているのだと思います。

戸松遥さんや阿澄佳奈さんのようにキャリアを積むとともにイチャコラするヒロイン役が増えてくるパターンもあり、当然のことながら演技力で役柄傾向はカバーできます。また年齢や実家ぐらしかどうかなどによっても変わってくるでしょう。ただやはりラブラブな演技を得意とする妹声優さんは希少に見えますので、需要は大きいと思います。

妹声優リスト

一人っ子声優 

sky (通常)
「アニメが好きな一人っ子」となると創作に向かいそうな気もしますが、演技に向かうとどうなるのでしょうか。数少ない一人っ子声優を見ますと、セルフプロデュースが得意で独自のスタイルを持っている方が多く、なかなかのタレント揃いです。音楽活動をしている人の割合も高い。

とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)
自主性が高く妄想力も強いためか、「涼宮ハルヒの憂鬱」の平野綾さんや「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の茅野愛衣さんのような、変わった設定の中でしっかり自己主張するヒロインが目立ちます。また同じ長女でも姉声優の醸し出す母性的な面は少ないいっぽう、クレバーでさばさばした感じがします。温かい人柄のイメージが強い早見沙織さんも、冷えきった感情の演技やツッコミがお得意だったりします。

タレント活動では「個性が強く目立つ」一人っ子声優ですが、演技面では喜多村英梨さんのような作品にうまくとけ込みつつ印象にも残る演技派タイプが多く、ひとりよがりな感じはまったくありません。おそらくアーティスト気質なので作品全体のデキに対してこだわりが強く、自分の個性をおさえてでも全体に寄与する演技をする傾向があるのだと思います。その上で、スパイスを効かせるように自分の個性も発揮できる声優さんが活躍できているのではないでしょうか。

(2012_09追記)ここ2、3年、女性声優にタレント性が求められる商業的背景から、キャラの立った一人っ子声優が一気に目立ってきました。悠木碧さんのように子役出身などで芸歴が長いパターンと、小林ゆうさんや佐倉綾音さんのような、推測ですがちょっとお育ちのいい、昔なら音大に進んでいたような人が声優業界に来ているパターンのふたつが目立ちます。とても個性的な性格なのに、大人と仕事をしていける社交性が若い頃からきたえられている感じがします。

一人っ子声優リスト


※一人っ子声優に関しては、兄弟姉妹の話を聞いた事がないので一人っ子ではないか、という人が含まれます。勝手に決めつけている事もあるかもしれませんが、ご了承ください。

真ん中っ子声優 

TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」 キャラクターソング Vol.3 朝比奈みくる
上も下も兄弟姉妹がいる女性声優さんは空気が読めることでは一番だと思いますが、いかにも気配りができるタイプと、後藤沙緒里さんのような独特なキャラクターのまま周囲と溶け込んでいるタイプの人が見受けられます。

役柄はいろいろ。弟さんを溺愛していた茅原実里さんは姉声優っぽい人ですし、5歳下の弟さんから妹あつかいされているという村川梨衣さんは妹声優的。兄弟姉妹の関係性によって変わってくるのでしょう。

真ん中っ子声優リスト


後藤(弱)さんと後藤(強)さんは兄弟構成まで同じなんですねえ。

ラジオパーソナリティーとしての姉と妹 

マハラジャになりたい!!
アニスパ!」の鷲崎健さん(兄1人)と浅野真澄さん(弟2人)のコンビのように、兄弟姉妹の上と下の人の組み合わせは聴いていて安定感があり、長続きしやすいと思います。アニスパ内で浅野さんは鷲崎さんより3才年下とは思えない姉様ぶりを発揮していますが、そういう分かりやすい姉っぽさでなくとも、「姉」は番組の方向性を決定づける支配力を発揮します。

「A&G REQUEST デジスタ」のパーソナリティー日笠陽子さん(兄1人)と大亀あすかさん(弟1人)。「けいおん!」澪役などで日笠さんの方が知名度も高く、2才年上で業界でも先輩。一方の大亀さんはとても小柄で日笠さんを上回るカミカミ王、さらにドジッ子でもあり、番組当初は日笠さんが番組を引っ張る形でした。

しかし大亀さんは「ときめきメモリアル4」のメインヒロイン、星川真希役を演じる典型的な姉声優。次第に日笠さんに重たい愛情をぶつけ、日笠さんをひるませる形で主導権を握り、現在は大亀さんがムチャぶりをして日笠さんがリアクションをとるようなやり取りが多くなっています。

TVアニメ「けいおん!」 「らじおん!」スペシャル Vol.1
けいおん!メンバーはそれぞれ雰囲気の違うラジオをやっていますが、「らじおん!」で全員集まると健全で牧歌的な雰囲気にまとまります。お子様も多く見ているアニメだからかも知れませんが、唯一の姉である佐藤聡美さんに合わせていると見る事もできます。それはちょっとこじつけっぽいかもしれませんけども、「姉の支配」というのは決して高圧的なものではなく、その人が変わらない事で生まれてくる雰囲気なのです。

リアクションの早さやトークの掛け合いによる爆発力は、妹声優が一枚上に感じます。日笠陽子さん×豊崎愛生さん、阿澄佳奈さん×井口裕香さん、たかはし智秋さん×今井麻美さんが出会った時のようなスピーディーでフリーダムな掛け合いは、姉声優同士ではちょっと難しいでしょう。

しかし妹同士は面白いのですが、番組をコントロールするのが苦手なので企画が散漫になりやすく、何十週も続くうちにバテてダレます。たまに出会って盛り上がるのが良さそうです。

姉同士や姉と一人っ子という組み合わせは主導権の取り合いになりますが、一度息があえば安定して進行するようです。釘宮理恵さん(妹1人)は、朴ロ美さん(推定一人っ子)や白石涼子さん(妹1人)と番組をされていましたが、朴さんとの番組では朴さん主導。白石さんとの番組では自身が先輩という事もあり姉風を吹かせていましたが、むしろ関係は結束して感じられました。支配関係がはっきりすると良いようです。

タッチ (12) (小学館文庫)
長寿番組化する率は、番組の方向性を打ち出すのがうまい姉声優や一人っ子声優の方が高い気がします。25年続いた「MamiのRADIかるコミュニケーション」は小森まなみさん(弟1人)、19年続く「ノン子とのび太のアニメスクランブル」は日高のり子さん(弟2人)、「Tokyo Boogie Night」などの林原めぐみさんは兄弟姉妹構成を知らないのですが、その他水樹奈々さん(妹1人)の「スマイル・ギャング」、堀江由衣さん(一人っ子)の「天使のたまご」、田村ゆかりさん(弟1人)の「いたずら黒うさぎ」など、姉・一人っ子声優の息の長さが目立ちます。

とは言えここ数年の妹声優人気で、阿澄佳奈さん(姉1人)、豊崎愛生さん(姉1人)、井口裕香さん(姉2人)らの番組も始まりました。妹声優の長寿番組はどういうものになるのか、これから明らかになっていくでしょう。

後書き 

というわけで、声優をいちいち兄弟姉妹構成で見てしまうクセがついてしまった私でした。以上のような考察でしたが、もちろん例外はございますのでご了承ください。

男性声優さんにつきましては、家族構成について公表されていない(あまり話題にしない)方が非常に多いので、考察をあきらめました。

この記事を書いている時「たぶん丹下桜さんは姉声優だろうな」と思って調べると、やはり姉だったという事がよくありました。きっとこの姉・妹の傾向は声優業界で、音響監督をされるような方もご存知なんだろうと思います。もしご存知でなかった声優さんがいらっしゃいましたら、役のオーディションを受ける際の参考にどうぞ。一般の方々はアニメ・ラジオの新番組でキャストを眺めて、ストーリーの先読み予想などをされてみてはいかがでしょうか。(2010/09/17)

  • ※追記:もし、掲載した声優さんの関係者で家族構成に関する情報の掲載を望まれない方がいらっしゃいましたら、ご面倒ですがこちらのページに記載のメールアドレスへご連絡ください。返信には数日かかる場合がございます。
  • ※上にも書きましたが、ほとんどの方は正式な公表ではないので情報に間違いがあるかもしれません。また、これ以外の声優さんの情報もコメント欄に多数お寄せいただいています。特定の声優さんをお探しの場合は「もっと読む」をクリックして全コメントを表示し、ブラウザで検索するなどしてみてください。)
  • ※コメント欄に情報をいただければ、私の独断でリストに声優を追加いたします。お返事には数日〜数週間かかる場合があります。掲載条件は「アニメの声優経験が複数回ある女性(必須)」で、「アニメ・ゲーム・外画吹き替えで主演級の経験がある」または「主演級ではないがとても有名な役を担当した」または「レギュラー役か、サブヒロイン級を数回担当した」または「声優としての活躍期間が長い(出演した年の累計が8年以上を目安)」「それらに当てはまらないが、声優経験が非常に豊富」です。主演級がない場合の判断については私の独断が入ります。たとえば役名をgoogle検索にかけて、だいたい50万件出れば「有名な役」としています。